忍者ブログ
YoruHika 三国志女性向けサイト 諸葛孔明偏愛主義
[69]  [68]  [67]  [66]  [65]  [64]  [63]  [62]  [61]  [60]  [59
頭の芯で鈍痛がやまない。喉もひどく痛む。
ひそかに侍医を呼ぶと、「風邪ですな」とあっさり断言され、その場で――つまり私の部屋で、薬草の調合がはじまった。
苦みのある青臭い匂いが、鼻の奥をつんと刺激する。

秘密にしてもらえますか、と頼むと、良いでしょう、見舞客が押しかけてもお困りでしょうから、という返答だった。
ですが、蒼龍殿はお気付きになるでしょう、と医師は肩をすくめる。
裏付けるように、足音が聞こえた。

「孔明殿・・!」
大事ありませんと言おうとしたのに、喉が痛んで声が出ず、かわりに空咳がこぼれ出た。男らしく整った清冽な容貌の眉が寄る。
働きすぎです。夜は休まれていたのか。食事をちゃんと摂っておられなかったのでしょう。まったくあなたは、いつもそうだ。

お説教が身に染み入る。薬草を煎じる医師が笑いに肩を震わせている。もっと言うてやりなされ、将軍。
出来上がった薬湯を渡され、苦いですかな?と聞かれるが、味は分からない。お風邪は身体が休養を求めているのです、長引かせるよりはまずは一日お休みなさいと言って、道具を片付けた医師は退室していった。


さあ、お休みに、と背を押されるようにされて、寝台へ。褥の中に押し込められる。
「傍におります」
布団の中でそっと、手を握られた。堅くてたのもしい武人の手。
身体も脳芯もふわりとゆるむ。
「何からもお護りいたしますゆえ、お休みください」
目を閉じるとすぐに、とろとろとした眠りにひきこまれた。

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
mail
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
secret (管理人しか読むことができません)
カレンダー
06 2025/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
バーコード
ブログ内検索
最古記事
(03/24)
(03/25)
(03/29)
(03/30)
(04/06)

Copyright (c)SS倉庫 All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  Photo by Kun   Icon by ACROSS  Template by tsukika


忍者ブログ[PR]