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YoruHika 三国志女性向けサイト 諸葛孔明偏愛主義
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::性描写があります。閲覧ご注意ください::


「声を、殺さないで下さい」
真顔でそんなことを言われたのは、閨房の中。
私はたくさん、それはたくさん、この人のわがままを叶えてきた。
この人はわがままだ。
主公が聞いたら「ええ?子龍がわがままだって?」とびっくりして「なにをいうか孔明、あれほど我慢強い男もおらんぞ」と笑うのかもしれないけれど。
いいや。
子龍はわがままだ。
私にこんな要求をする所が、わがままでなくて、なんなのだろう。
「そんな」
私は目を潤ませる。
これがまた異常だ。天下に大計を描く智者、「あぁ軍師様は神仙のようだ」とまで文官にささやかれるこの諸葛孔明が、閨で目を潤ませて、己の上でわがままを炸裂させる男を見詰めるなんて。
「・・・そんな」
声に含まれるのが非難ではなく哀願だという時点でもう駄目だ。なにか間違っている。
子龍の手管によって私の中心は勃ち上がり、はしたなくも蜜を滲ませている。
ああ、もう達く、と背をそらしたところだったのだ、彼が手を止めて冒頭のせりふを言ってのけたのは。
「子、龍」
「なぜ、声を出すまいとするのです。俺に、聞かせたくないとでも?」
非難に満ちた声で子龍が云う。
非難、されなくてはいけないのだろうか。非難したいのはむしろこちらのほうだ。
「き・・・聞かせたくありません」
この慮外者と罵ってやってもよかったのに、出たのは蚊の鳴くような細い声だ。
もう達する、というところまで嬲られた身で、どう反撃せよと。
でも、聞かせたくない。男に身体を触られて、声を殺すな・・つまりは喘ぎ声を出せなんていう要求をしてくるほうが恥知らずだ。
だが、私の言葉に子龍は眉を上げた

「そうなのですか」
と。
納得して畏れ敬う「そうなのですか」ではなくて、非難と無理解に満ちた「そうなのですか」だった。
子龍は、口を覆っていた私の手を取った。声を漏らさまいと噛んでいたので、指が赤く腫れている、また唾液で濡れてもいるその指に、子龍は唇を寄せた。あたたかい唇に触れられて、「あ」と声が洩れる。
どうしたらいいか分からなくて固まっている私をちらりと見て、子龍は舌をそっと出した。なんてことない愛撫なのに、背が引き攣った。声が洩れそうになるのを、唇を噛んで必死でとどめる。
そんな私を見ていた子龍は、不満そうに口端を下げ――
「・・・え・・っ!?」
私の両腕をとらえてねじり上げると、手際よく後ろ手に縛り上げてしまった。
「な――」
やわらかい布を使っているので痛くはない。けど、・・・
「あ・・」
横向きに寝かされて背後から抱きしめてくる体温に安堵を感じたのは一瞬だけで、片方の手は膝のあたりからゆっくりと上へと滑り、片方の手のひらは胸元にのびて、ふくらみのない稜線をたどって朱尖へと行き着き、そこで不穏な動きをしはじめた。
「ふぅ・・ぁ」
噛み締めていた唇がゆるまりそうになり、また噛み締める。
脚の内側をなでていたほうの手がふ・・と離れ、わなないている唇を撫で、それから口に入り込んでくる。
指先が舌に触れると感じてしまい、濡れた息がこぼれた。
指を口に含ませたまま、子龍の手が胸を愛撫する。指の腹でゆるくこすって赤らんだところを、つまんで転がして。
「ぁふ・・ん・・っ」
下肢では達する寸前に放られた中心が、震えて蜜をしたたらせているのが分かる。しとどに濡れた中心が敷布にこすれるのが、みだらな刺激となって襲いかかった。
指が舌に絡むたびに、切ない疼きが腰にはしる。抜き取られたときにはもう、唇がわなないて口が閉じられなかった。
たっぷりと唾液をからめて指が、そのまま下肢に向う。
濡れそぼった指で後口をくすぐるように撫でられると、びくりと身体が跳ねた。
過剰な反応に耳元で低い笑い声がしたかとおもうと、其処に指がもぐりこんでくる。
「あ、あ・・・!」
両手を後ろで縛められているせいで平衡を失った身体をそっと引き寄せて、子龍が指を動かしはじめた。
瞬間、異物感に総毛だつ。この感触にはどうしても慣れることができない。
「ぁ、ぁ・・いや」
「軍師・・力を抜いて」
「ふ・・く・・あああ」
「すごい締め付けだ・・・感じますか?」
「き、気持ち悪いです・・・」
指が、ぴたっと止まった。男らしい眉宇が険悪に曇ったのも見てとれた。
だ、だけど・・・
女人ではないのだから、快に濡れるでもない其処を指が這い回る感覚の恐ろしさは、筆舌に尽くしがたい。子龍だってそれを考慮して、いつもはうんと優しくしてくれるのに。
「・・・気持ち、悪い。そう・・・ですか」
「っ」
足を大きく割り広げられて広い手に中心をからめ取られたかと思うと、そのまま強引な動きで上下に擦られた。一方で、長く節だった指が、窮屈な肉壁を掻き分けるように押し入ってくる。
「ぁ、あ・・・っ!」
ぎしりと寝台を揺らして覆いかぶさるように隙間なく身体を寄せた彼は、不安定に揺れる私の身体を支えながら、後口に入れた指を一層奥深くにまで含ませて蠢かせた。閉ざす事を忘れた口の端から零れた唾液が、顎先を伝って滴り落ちる。
それでも声をこらえようと耐えていると、子龍が体内でちいさく指を折り曲げた。
「あぁっ! ・・や、そこは、・・・・やぁ・・!」
「―――感じますか、軍師殿」
「や、あっ・・・やめ・・いや、そこはいや・・!」
「お嫌などと。ここが、好いのでしょう?」
一度出した指を2本に増やして子龍は指の腹をそこばかり抉るようにこすりつける。
もう声をこらえるなどできない。
「ひぁ・・・・ああ、あ・・・っ」
濡れるはずもない箇所からくちくちと濡れた水音が漏れているのは何故なのか考えたくもなかった。
「で、出てしま・・・あ!」
とうに限界を超え一抹の理性で留めていたものが弾けようとした瞬間、大きな手に根元をきゅっと握られた。
「い、いや・・子龍、」
弄られて男性の手に放ってしまうなど考えただけで浅ましい。彼の愛撫にも意思を手放すいと耐え続けていたが、放出を留められた私の理性は崩れてしまいそうだった。
「だめ・・・あ、あ、」
「軍師、どうか・・・」
理性どころか正気を手放しそうになる。恥ずかしい、出したくない、我を忘れたくはない。そして早く解放されたい、我を忘れて彼にすがり、優しい快楽を与えられたい。
結局どちらも選べなくて声を詰まらせたまま、涙がこぼれた。
「子、龍・・」
涙混じりの哀願を込めてか細く呼ぶと子龍は怒ったような表情をし、次の瞬間には凛々しい眉を歪ませて嘆息して、中心を戒めていた手をゆるめた。
「・・・・卑怯な方だ、あなたは」
するりと私の両手の拘束を解き、中心に指をかけて擦りあげる。とうに限界を超えていたものはあっさりとはじけた。
声を抑えることもできず精を吐き出し、整わない息をせわしく吐きながらぐったりと寝台に沈んでいると、子龍が額ぎわの髪を撫でていて、その心地よさに目を閉じた。

 

実のところ私はそこで眠ってしまいたかった。
あの、尾てい骨が割れるような激烈な痛みと全てをさらわれそうな快楽は激しすぎて。
受け止めきるのは彼はいつも激しすぎて。

「あの・・どういたしますか。挿・・れます・・・・・・・?」
目を開けておそるおそる訊ねてみる。自然と上目遣いになった。
子龍は何か言いかけたが黙り込み、難しい顔をした。考えているらしい。
その様子から、いま働いた無体を反省しているようにも見えて、いかにも、今夜はもう、ゆっくりお休みください、軍師。なんていうセリフを言いそうな感じがした。
だが、顔を上げた彼が実際に言ったせりふはというと。
「・・・挿れます」
だった。
「・・・お嫌なのですか」
この人らしくなくひどく切羽つまった表情と口調に、眩暈を感じる。
声を出すなという要求を拒んだら、縛られた。
感じるかと聞かれて、否定的な感覚を訴えたところ、先ほどの無体だ。
ここで嫌だと答えたら、このあとの私の運命はどうなるのだろう?
この人はわがままだ。
わがままでなくてなんであろう。
私は目を潤ませた。
「軍師」と切なげにつぶやいて子龍が私の唇に指を這わせた。
「・・・私はあなたが好きです」
「・・・はい」
眉を寄せた真摯な表情で、吐息だけで子龍が返事する。
「俺も、軍師のことが」
絶句したのは、なぜだろうか。
「だから・・・いいです子龍・・私にあなたを感じさせてください」

万人が見惚れる美麗な容貌を言いようのない表情に歪ませて、堰を切ったように子龍が覆いかぶさってくる。
全体重をかけて押さえ込み、力任せにぐいと足を抱え上げられた。
「・・っ、ゆっくりしてください怖い・・っ!」
「優しくします、・・・・優しくいたします・・・っですから軍師殿・・・どうか・・・―――受け止めてください。・・・・俺を、拒まないで下さい」


いつも受け止めているのに。困った人だ。
返答の代わりに自由になった両手を彼の背に回すと、引き攣れたように鍛えた身体が震え、彼は短く荒い息を吐いた。

 

 

 

 

後日。
主公に、子龍はわがままだと、ふと洩らしてしまった。
主公は黒目がちの瞳を瞬かせてまじまじ私を見、それから悔しげに頬をふくらませた。
「私は、子龍にわがままを言われたことがない」
と。
何をかいわんや。
「いいな、孔明は。私も子龍にわがままを言われてみたい」
じと目でじぃっと見る子供っぽさに呆れ、困ってしまった私は目を伏せて微笑んだ。

 

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