臆病ものだと、かれはわたしをののしった。
諸将は困惑にざわめき、文官からはわたしへの非礼を咎める叱責がかれへと飛んだ。
かれが、嘲笑う。
かれを目のかたきにする文官たちには目もくれず、わたしだけを見て。
「失敗したところで、死ぬのは某と、某の部下のみ。どちらにころんでも丞相の御損にならぬ話でござろうが」
「許さぬ。遠征は予定通り危険のすくない道をえらび全軍一致に進軍し、まず隴右を奪うものとする。先鋒には…」
わたしは平坦な声を出せているか。
顔は平静なのか?
おまえを喪いたくないのだと口に出したら、おまえは、わたしを嘲笑うだろう。
わたしを哀れんで、嘲笑うだろう。
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